駅のホーム。人がぞろぞろと降りていく。
 寂しく思えたのは最初だけだった。
 だんだんと人が乗ってきて、最後には満車になっていた。
 人の波の中、あたしは押しつぶされそうになりながら降りる。
 篭っていた熱気が、外に流れていく。
 人の体温は意外と温かい。それが数十人になると、熱いなんてもんじゃない。
 背中にはうっすらと汗。
 それだけでも気持ち悪いのに、色々な人の汗が自分に染み付いているように感じがして、さらに気分が悪くなった。

 ここは大堂(だいどう)市。あたしが目指す穂波町の隣にある街だ。
 あたしはここで、最後の仕上げをしなくちゃいけない。
 というより、間違いを正さなくては。
 頼んだヤツが、あっちには明日着くと伝えてしまったらしく、今日来るということを知らないのだ。
 あたしは、これ以上あの人の近くに居るのが嫌だった
 だから半ば、強硬手段を取ってしまったというわけだ。
 公衆電話を見つけ、紙に書いていた番号を押していく。
 錆びているのか、少し押しにくかった。
 ここまで来たんだ。もう大丈夫。
 この街には、あたしの存在を知っているヤツなんて誰も居ないだろう。
 寂しいことだけど、あたしはそういう存在。
 常に隠されてきた存在。
 番号を押し終え、呼び出し音が耳の中に木霊する。
 そして……。

「はい。こちら穂波――」






『手紙〜伝えられた想いと邂逅と〜』






 真上にある太陽は、僕に日の光を浴びせていた。
 光は木の葉の遮りに関係なく、充分に明るい。
 木と木の間に輝きをもたらし、草に元気を分け与えている。

「ふぅ……」

 手の甲で、汗を拭った。
 診療所の裏手にある山を、僕は今登っている。
 手には墓参り用の花と、彼女からの手紙。
 山の頂上付近に彼女のお墓がある、と紗衣香ちゃんは言っていた。
 彼女は、どんな所で眠っているのだろうか?
 彼女は今、どんな景色を見ているのだろうか?
 償いの気持ち……少しでも届けばいいと思う。彼女に。
 返事は絶対に返ってはこないけれど。
 伝わったからと言って許されるものではないけれど。
 少しでも……。

「大丈夫ですか?」

 先頭を歩く紗衣香ちゃんが、疲れを感じさせない声で聞いてくる。

「……ん。大丈夫だよ」
「そうですか? だいぶお疲れのようですが」

 しっかりと見抜かれていた。
 普段運動してないのが効いてるらしい。
 正直、かなり疲れている。
 それにしても……紗衣香ちゃんは随分平気そうな顔で僕を見下ろしているな。

「紗衣香ちゃんは疲れてないの?」
「私は……毎日来てますから」

 ……そっか。
 紗衣香ちゃんは優日が居なくなってから、毎日来てるのか。
 僕は、ただの一目も会いに来なかったというのに……。

「先生」

 いけない。暗い気持ちになるな。
 僕は謝罪しに来たんだ。もう届かない恋人に。
 必死に謝りに来たんだ。
 自分を責めるのはその後。

「先生っ」
「え?」

 紗衣香ちゃんの声が、僕の思考を遮る。

「着きました」

 そう言って、紗衣香ちゃんは静かに指で示した。

「あ……」

 青空と木の緑。そして白い雲。
 自然にある色彩は、違和感なく穂波町を包み込んでいた。
 眼下にあるのは学校。そのグランドで子供達が元気に走り回っている。
 そして、あちこちに散りばめられている家と真っ直ぐに伸びる商店街。
 風で揺れる稲穂の絨毯に一筋の線。駅に続く道がある。
 穂波町の全てがそこにはあった。
 そして、その景色を眺めるように。
 大きな石がぽつんと、一つだけ置いてあった。

「これが?」
「はい。姉さんのお墓です」

 ゆっくりと近づく。
 確かめたい、だけど確かめたくない。
 彼女の死を確認してしまうという、恐怖。
 嘘であって欲しい。生きていて欲しい。
 もう居ないって痛いくらい知っているのに、どうしてまだそんな戯言を考えてしまうのだろう。

「これが……」

 石。大きな石。
 その表面に窪みがあった。それを指でなぞってみる。
 『篠』……『又』……『優』…………『日』

「……」

 確認……もう彼女は居ないんだ。
 二度と僕の前で、笑いかけてくれる事はないんだ。
 石に触れてみる。
 指先に温もりはなく、無機質に冷たかった。
 当たり前だ。これは石。
 彼女の体はもう、この世界には無い。
 触れることなんて出来ない。
 抱き締めることも。愛し合うことも。確かめ合うことも。
 もう、何もかも出来ないんだ。

「――っ」

 愛おしさがと悲しさが同時に込み上げてくる。
 一瞬、泣きそうになり、頭を振って顔を上げる。
 目の前に広がるのは町の景色。
 稲穂が静かに、ゆっくりと揺れているのが分かる
 彼女はこの場所で、この景色を見て、今も眠っている。
 そう思うと、この場所から離れたくなかった。
 少しでも彼女の側に居たいと感じた。

「では、私は先に下りますね」

 静かに僕の様子を見ていた紗衣香ちゃんが口を開いた。

「え?」
「私はここにいてもしょうがないですから」

 そうだ。
 最初はお墓の前で帰ってもらおうと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていた。
 紗衣香ちゃんは僕がこれからする事を分かっていて、気を利かせてくれたのだろう。

「ありがとう」
「いえ。帰る道は分かりますよね?」
「大丈夫」
「それでは、ゆっくりしていってください」

 紗衣香ちゃんは、優日の前で手を合わせ、一礼をする。
 そして小さく「また来ますね」と言って、山を降りていった。







 風が吹いた。
 流れるように、僕の前髪をかきあげる。
 気持ちのいい風。

「……ふぅ」

 少しは落ち着いてきたと思う。
 真正面から彼女のお墓を見る事が出来るようになった。
 まだ、悲しい気持ちは当分拭えないだろうけど。
 お墓の前に花を置き、手を合わす。

「優日。帰ってきたよ。君と出会い、君と過ごしていたこの町に」

 言いたい言葉がたくさん溢れてきて、何を言いたいのか分からなくなる。

「謝りたい、君に。たくさんたくさん、謝らなきゃいけない」

 僕は、君の命の期限を聞いた時。
 君の心を守ることより、君の命を守ることを最優先とした。
 だから君から離れ、救うすべを探し続けていた。
 その間にも君は、心も身体も傷つき続けていたというのに。

「僕は君の側に居ることが怖かった。だんだん君の存在が希薄になっていくようでどうしようもなく怖かった」

 だから逃げた。
 そう言われてもおかしくないし、僕自身もそう思う。
 「命を守る」なんていう格好だけの言葉を使って、逃げ出した。
 自分が傷つきたくなくて、君が傷つくなんて考えもしないで、自分勝手な行動を君に押し付けた。

「ごめん……本当にごめん」

 彼女のお墓に向かって、土下座をする。
 草に頭を擦り付けた。

「君を愛していた。それだけは間違いなかった。間違えるはずの無い感情だった。なのに……どうして僕は……」

 間違ってしまったんだろう?
 答えの出ない疑問。
 それに今更、答えが出てもしょうがない。
 取り戻す事なんて、絶対に出来ないのだから。

「君はどんな時でも笑顔だった。どんな時でも笑っていてくれた」

 君は最期にどんなことを思った?
 君は最期に何を願った?
 君は最期に何を喋った?
 僕に何を残したかった?
 僕に何を言いたかった?

「その全てが、きっと……」

 この手紙の中にある。

「大丈夫」

 受け止められる。いや、受け止めなきゃいけない。
 君の言葉を、この胸に、この頭に、刻みつける。
 一瞬だけ目を閉じて、手紙を開いた。




 俊也さん。おひさしぶりです。
 この手紙を読んでいるということは、この場所に……穂波診療所に帰ってきたのですね。
 この場所は変わりましたか?
 風景は変わりましたか?
 ここに住んでいる人達は変わりましたか?
 たぶん、何も変わってないでしょう。
 俊也さんも驚いたと思います。
 そして、思い出したんじゃないでしょうか。
 土の匂いをはらんだ風。
 その風に揺られて鳴く穂波の群れ。
 そして、ゆっくりと時間が流れてゆくような感覚。
 すべて変わってないんですよね、きっと。

 俊也さん。
 私は貴方に伝えなきゃいけないことがあります。
 実は俊也さんの研修のお話。私が院長さんに頼んだんです。
 本当はもう少し先のお話でしたけど、私が早めてくれって言いました。





 それは……どういうことだろう?
 優日は、僕が離れて行くことを望んでいた?
 どうして?




 そして、もう一つ。
 約束をしたあの日のことです。

 あの日、私は少し舞い上がっていました。
 想いが繋がったから。
 伝わるわけが無いと思っていた感情が伝わったから。
 だから、私はあんな約束をしてしまいました。
 死ぬその時まで一緒にいる、って。
 けど、私はその後、後悔をしていました。
 私は私が弱っていく姿を貴方に見てほしくなかった。
 きっと、貴方は……そんな私を見て辛そうにするだろうから。
 けど、約束を守ろうとすごく一生懸命な俊也さんの姿を見て、私は何も言い出せなくなりました。
 すごく幸せな日々の中で、徐々に……だけど、確かに弱っていく、私の身体。
 そんな私を見て、無理に笑顔でいようとしている俊也さん。
 どうしたらいいんだろう?
 ずっと、密かに悩んでいました。
 そんな時、院長さんから研修のお話を聞いたのです。





 だから、院長に早めてくれって言ったんだ。
 僕が辛そうにしているのを見ていたくなくて……研修の話を。
 確かに、弱っていく彼女を見ているのは……辛かった。
 けど、彼女の前ではそんな顔を見せないようにしていたのに。
 優日にはすべて、分かっていたんだ。
 でも、研修の誘いなんか自分の意思で断れた。
 けど僕は、それを受けてしまった。逃げる口実にした。
 これは変わりようの無い事実。

「……」

 読み始める。
 手紙はもう、終わりの部分まで来ていた。




 俊也さん。
 貴方は今、自分を責めていますか?
 もし自分を責めて居るのなら……。
 いいえ。きっと俊也さんなら、自分を責めているのでしょうね。
 お願いします。自分を責めないで下さい。
 私を救えなかった事を、公開しないでください。
 私はそんなことを望んでなんかいません。
 確かに、俊也さんが居ない日々は寂しかったです。
 辛くなかったといえば嘘になります。
 何度も会いたいと思いました。
 触れたいと、抱き締めたいと、抱き締められたいと思いました。

 だけどそれ以上に、私を見て欲しくなかった。
 好きな人に、今の自分の酷い顔を、姿を、見て欲しくなんてありませんでした。
 だから私はあの時、俊也さんを拒絶したんです。
 ごめんなさい。自分勝手でしたね。
 これで、おあいこです。
 だから、自分を責めないで下さい。
 私のことで後悔だけはしないで下さい。
 私が勝手に動いて、こうなったのですから。
 お願いします……自分を責めないで下さい。
 お願いします。

 私が伝えたかったことは以上です。
 こんな形でしか伝えられなくてすみません。
 本当は自分の声で伝えたかったけど、時間がもう……ありません。
 最後に、好きです。愛しています。
 俊也さんと会えて本当に良かった。
 私は俊也さんの為にこの世に生まれたんだと、本気でそう思っています。
 本当に、心の底から。そう言えます。

 そしてどうか、私のことを忘れないでいて下さい。
 ずっと私を好きでいて欲しい、と言っているわけではありません。
 私以外の人と一緒になってもいいです。ヤキモチは焼きませんから。たぶん。
 ですけど、私という存在が居たことを、どうか心の隅に留めて置いてください。
 これは私の、最後のワガママです。
 さよなら、とは言いません。
 私は、涙でお別れなんてしたくありませんから。
 だから、この言葉を送ります。
 ありがとう。
 私を好きになってくれてありがとう。
 私を受け入れてくれてありがとう。
 私の夢を否定しないでくれてありがとう。
 私と一緒に、歩いてくれてありがとう。

 最後に、私を……愛してくれてありがとう。
                                   篠又 優日




「責めるな、なんてできるわけないだろっ」

 涙が頬を伝う。
 次から次へ溢れてくる。
 手紙を胸に抱く。温かい。
 まるで優日の体が、温もりがそこにあるかのように温かい。
 やっぱり、僕は馬鹿だ。
 肝心な所をいつも見落としている。
 どうして、気付いてあげれなかった?
 どうして、気が付こうとしなかった?
 どうして、逃げてばかりいたんだ?

「ほんの少しすれ違ってしまった。ただそれだけなのに」

 どうして、こんなことになってしまったのだろう。
 悲しみしか生まない終わりに。
 彼女は僕を許してくれている。それ以前に責める気持ちすらなかった。
 手紙の中の彼女はひたすら「自分を責めないで」と懇願していた。
 彼女の遺言。
 なら、それを叶えてあげなくて何を叶えるというのだろうか。

「責めるなというのなら、出来るだけ責めないようにしよう」

 だけど、自分を許すことだけは出来ない。
 僕がしてしまったことは決して正しいことなんかじゃない。
 これだけは、変わりようのないもの。
 僕がするべきことは、紗衣香ちゃんに真実を伝える。
 そして、この診療所で働く。
 そうすることでの、償い。
 これは、変わらない。変えることは出来ない。
 それが自分の為にも、紗衣香ちゃんの為にも、優日の為にも、必要な事だと思うから。

「優日……」

 空を見上げる。
 青い空。そして、彼女の名前のような優しい日差し。

「ありがとう」

 二度と伝わることは無いけれど。
 だからこそ、何度言っても言い足りない言葉を紡ぐ。

「僕も心から言えるよ。愛してる。誰よりも、何よりも」

 伝われ。
 この想いだけでいいから。
 雲を越えて、この青く広がる空の上まで。
 そう、切に願う。







 あの後、しばらくの時間、優日の側にいた。
 離れたくなくて、ただ黙って、この町の景色をずっと一緒に眺めていた。
 日が暮れて、優日に「また来るよ」と告げて山を下りる。
 そして、診療所の前まで着いた時、勢いよくドアが開いた。

「紗衣香ちゃん? どうかした?」
「……先生。あ、あの」

 言葉に詰まっている。
 何を言っていいのか分からないのか、必死で言葉を探している感じがした。

「……あの、実は明日、患者さんが来ることになっていたんです」
「患者って、入院患者?」

 いきなりな話だった。
 普通、院長である僕に話を通さないといけないはずだけど。

「はい。院長先生が受けてもいいっておっしゃられたので」
「院長って、浩介さんが?」
「はい。あ、すみません。浩介さんです」

 浩介さんは、僕の前に院長をやっていた人。
 穂波診療所の創設者にて、僕に医者について色々と教えてくれた人。

「その人が、どうかした?」
「それが……その、今日……来るらしくて」

 言葉尻がだんだんと小さくなっていく。
 彼女にしてみたら、予定より早まるなんて、予想外の事だったのだろう。

「今日、とは……また急な話だね」

「……その、突然患者さんから今日行くからって……電話がありまして」

 そして彼女は申し訳なさそうに、頭を下げる。

「……すみません」
「いいよ。謝らなくて。紗衣香ちゃんのせいじゃないんだから」
「いいえ。今日はゆっくりしてもらうはずだったんです…姉さんの事もありましたし」
「……ありがとう。その気持ちだけで充分だから」

 紗衣香ちゃんの優しさが嬉しかった。
 こんな僕にも、気を使ってくれる。

「……はい」
「それで、何時ごろ着くの?」
「えと、列車は五時に着くと聞いてます」

 腕時計を見る。
 時間は四時四十分。
 あまり時間が無いみたいだ。。

「そろそろだね。じゃ、迎えに行ってくるよ」
「そ、そんな! ダメですっ! 私が行きます」

 僕の言葉を考えもしなかったのか、必死で拒否する。

「大丈夫。院長になったんだから、これくらいはするよ」

 なにせ初めての患者さんだ。
 どんな事情でここに来るのかは分からないけれど、初対面が大事だ。
 だから直接、挨拶をしたかった。

「そんな……私が勝手に受け付けてしまったのに、先生にご迷惑をかけるわけには行きません」
「いや、大丈夫。迷惑なんかじゃないさ。院長の初仕事、任せてくれないかな?」

 僕は診療所とは反対の方向を向く。
 紗衣香ちゃんはしぶしぶ納得したかのような声で。

「分かりました。お願いします」

 そう言って、僕を見送った。







 歩き始めて二十分。
 駅まで来ていた。時刻は丁度五時。
 辺りを見回しても、風の音だけしか聞こえない。
 まだ着いてはいないみたいだ。

「でも、どうしていきなり」

 明日のはずが、今日になった。
 それも紗衣香ちゃんが言うには、けっこう無理矢理だったようだ。
 何かあったんだろうか?

「ん?」

 車輪の音が聞こえた。
 一両だけの車輪の音が。
 この町は小さく外れにあるから、訪ねてくる人もそう居ない。
 だから一両だけ。それだけで充分。

 『終点―――穂波町、穂波町』

 アナウンスが響く。ドアが開き、人が一人出てきた。
 ショートカットの女の子。
 大きな荷物を重たそうに持って、ゆっくりと電車から下りる。
 高校生…いや、中学生にも見える。
 とにかく、僕よりはずっと離れている感じがした。

「……なんだろう」

 なんだろう。
 この不思議な気持ちは……
 体の奥の……心よりももっと深い場所で、何かが騒ぎ立てている。
 懐かしい。愛しい。そんな感覚。
 でも、どうして……?
 この子に会うのは、もちろん初めてだ。
 誰だかは思い出せない。
 けど、似ている。
 ふと、少女と目が合った。

「……なに?」

 短い、けれど威圧的な声。
 誰も近付く事を許さない、そんな雰囲気。

「え……いや」
「だから、なんだよ」

 少しイライラした感じで、また聞いてくる。
 怪訝そうな顔。
 まったく光のない暗い瞳。
 そして、その奥でふと現れる…悲しい色。

「――!」

 その瞳を見たとき、全てが分かった。
 そうだ。そうなんだ。
 心の奥で感じた既知感。
 雰囲気や外見、言葉遣いなどまったくの正反対だけど。彼女に。
 優日に……似ているんだ。
 初めて診療所に来た頃の優日に。

「僕は……上月俊也」
「上月……俊也?」
「君が、これから行く場所の医者だよ」

 少女は、僕の顔を怪訝そうに眺めていた。
 これは希望の始まりか、新たな絶望か。
 それは分からない。
 でも、進んで行こう。
 できる限り前を見て、歩いていこう。
 "さよなら"という終わりではなく、"ありがとう"という始まりを示してくれた優日の為にも。
 進んでいこう。
 償うのではなく、自分を許していくために、生きていく。
 それが優日の願いだと、僕は思うから。
 今度こそ間違えないように、進んでいこう。
 その先にきっと答えがある。そう信じて。






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